最近「Amazonプライム」にハマっていて、昨日もパラパラと「無料」で観ることができる映画のラインナップをめくっていると、ふとこの傑作映画を見つけ、ついつい観はじめ、イッキに最後まで息つく間もなく観きってしまいました。
いやー、この映画、ホント凄いですね。
どこが凄いのかうまく表現できないのですが、なんか放送禁止の映像を観ているような緊張感があります。
何度も観ている大好きな映画ですが、どこを切っても見応えのある傑作です。
この作品は、1969年(昭和44年)「週刊大衆」に連載され、昭和後期の麻雀ブームの火付け役となった、阿佐田 哲也(あさだ てつや)の「麻雀放浪記」第1巻「青春編」を、1984年(昭和59年)に和田誠監督が映画化したものです。
全編モノクロで、敗戦直後の激動の時代を生きたバイニン(ばくち打ち)の生き様が描かれていて、芯が強い(芯のある)命がけの男たちのロマンに心地よく触れることができます。
自分自身の力だけでしか生き残ることができなかった激動の時代の、戦場ともいえる麻雀卓という舞台で闘い続ける、美しくも切ないアウトロー(ピカレスク)たちの一挙手一投足に、何回観ても痺れます。
登場人物は...
この映画の主人公の「坊や哲」を真田広之さん、
バイニン(ばくち打ち)でならず者の、今日のこの記事の主役「ドサ健」を鹿賀丈史さん、
そのドサ健の健気な恋人「まゆみ」を大竹しのぶさん、
渋くて老獪なバイニン(ばくち打ち)で、この映画でいくつもの賞に輝いた「出目徳」を高品格さん、
クールで悲しげでクソかっこいい「女衒の達」を加藤健一さん、
それぞれこの役はこの人にしかできないのではないかと思えるような、眩しいほど素晴らしい演技をみせています。
そんな男臭いバイニン(ばくち打ち)達が、チンチロリンでサイコロを独特の乾いた高音を立てて茶碗に転がすシーンや、坊や哲が銀シャリ(白米)をおいしそうにかっ込むシーンや、ドサ健がコップ酒をしかめっ面でグビっとあおるシーンや、出目徳がヒロポンを恍惚の表情で自らの腕に注射するシーンなどは、観てるだけで昭和初期の動乱期にタイムスリップしたような気分になれる、何回観ても色褪せない、センスの良い映画です。
少しでも麻雀に興味のある方や、戦後復興期の、ただがむしゃらに必死に生きていこうとする、男臭いロマンのようなものに憧れている方や、少なからず「人生はギャンブルだ!」と思っているような方であれば、絶対におすすめできる映画ですので(Amazonプライム会員の方などは特に)是非一度観てみてください。期待は裏切りません。
※Amazonレビュー
敗戦直後の東京を舞台に、ギャンブラーの世界に憧れを抱く哲ら若者たち。彼らのさまよう姿を描いた、阿佐田哲也の同名小説が原作である。人気イラストレーターであり、大の映画マニアとしても知られる和田誠が初監督した、日本にはめずらしいギャンブル映画の秀作だ。
時代の雰囲気を巧みに醸しだすモノクロ画面、オープニングの『東京の花売り娘』以外、音楽を廃した清閑さ、そしてなによりも1カット1カット、こと細かく丹念につづられていく真摯な演出は、各方面で絶賛された。それまでアクションスターとして活躍していた主演の真田広之にとって、転機になった作品でもある。また、主人公の先輩である出目徳を好演した高品格は、その年の助演男優賞を独占した。(的田也寸志)
そんな私も、学生時代は高田馬場の雀荘に入り浸り、麻雀卓を囲む毎日でした。その当時「麻雀放浪記」の登場人物のかっこいいセリフの真似をして、半分冗談ではありますが、ばくち打ちにでもなったような気分を楽しんでいました。
今日はそんな若い頃にはイマイチぴんとこなかったけれど、年を重ねるにつれ、ようやくしみじみと腹に落ちるようになった、登場人物(特に「ドサ健」)達の名セリフをご紹介します。
もし私と同じようにこの名セリフに共感していただける方がひとりでもいらっしゃれば幸いです。
それではそろそろ始めます。
※多少ネタバレになりますので、この映画を近々観る予定の方は、これより下は映画をご覧になってからお読みになることをおすすめします。
1・「自分だけ気がついて、他が節穴なんて事はめったにねえ。」
これは坊や哲が、博打場でイカサマしているバイニンの手口を見破って、いい気になってそのバイニンを追及しているときに、ドサ健が「あまり調子に乗るなよ」と諌めたときのセリフです。
このセリフには正直はっとさせられました。私も以前は世界は自分を中心に回っているかのごとく高慢に振る舞ったり、何か他人の弱点や恥部を見つけると、鬼の首を取ったように糾弾したり、見下ろしたりしていた時期もありました。
自分にわからないことなんかないし、自分だけが「人間社会の節理をわかっているんだ、すげえだろう!」みたいな超勘違いをしていて、雲の上まで昇ってしまっていた時期があったのです。
でもそんな居丈高で慢心だらけの浅はかな人間には、間違っても男のロマンは存在しませんよね。
この記事は、私が転職した当時実際に経験した、いかに自分が無力であるかを痛感させられたときのことを書いたものです。
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2・この世界には友情とか友達なんてものはない、ボスと手下と敵とこの三つだけ。
これは坊や哲が惚れていた加賀まりこ扮するオックスクラブ(賭場)の「ママ」が、哲のポテンシャルに目をつけたものの、まだまだアマちゃんの哲に向かって、諭すように発したセリフです。
この世界とはもちろん行くか死ぬかのばくち打ちの世界を指しています。
確か、あの「大人の流儀」の伊集院静氏も「要するに3通りしかないんだ。ひとつはね、強いやつについていく。もうひとつは逃げる。三つ目は独りで闘う。」と似たようなことを言っています。
現代社会(サラリーマン)においてはここまで立場の色分けは鮮明ではありませんが、どの職場にも裏切りやチクりや足の引っ張り合いが蔓延しています。「他人は誰も信じるな」とまでは言いませんが、昔から言い伝えられている通り「男は外に出たなら7人の敵がいると思え」くらいに腹をくくっておいて損はないのかもしれません。
この記事は、そんな企業(組織)に蔓延る、なかなか油断できない(全幅の信頼を置けない)タイプの人々をまとめたものです。
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3・あいつは俺の女だ。この世でたった一人の俺の女だ。だからあいつは俺のために生きなくちゃならねえ。俺は死んだって手前っちに甘ったれやしねえが、あいつだけには違うんだ。あいつと死んだお袋とこの二人だけには迷惑掛けたってかまわねんだ。
このセリフは坊や哲がドサ健に対して、もう少し恋人のまゆみを大切にするべきだ、みたいなことを言ったときに、すごい剣幕でドサ健が哲に向かって返したセリフです。
男性が女性を愛するというかたちは十人十色です。幸せか不幸せかは、実際は当人同士にしかわからないというのがお約束です。
この世界には70億人以上の人が生きています。つまり男と女がが出会う確率は70億分の1なのです。ドサ健とまゆみもこんな天文学的な確率をクリアして出会った縁なのです。
だからこそ男は女にとことん甘え、女は男にとことん尽くす(まさしく男のロマン)という理屈では説明できないようなことが起きてしまうのではないでしょうか。
この記事は、まだその域にまで到達できていない私と妻の夫婦喧嘩のことを書いたものです。
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4・てめぇら、家付き飯付きの一生を人生だと思ってんだろ。
~てめぇらにできるのは長生きだけだ。クソ垂れて、我慢して生きてるだけだ。
このセリフは、ドサ健に「もっと真面目に生きろ」みたいな説教をした飲み屋のおやじに対してドサ健が毒づいたものです。
ある意味人生はギャンブルです。それは否定できないことです。ある程度のリスクを取らないと余程頭脳明晰であるか、天から与えられた類まれなる才能がない限りは大きな成功を収めることは難しいのが一般的です。
失敗を怖がって何のリスクも取らない男にロマンはないし、人並み外れた成功や人生の醍醐味や快楽は決して得ることはできないでしょう。
守りにばかり入る男は、ドサ健が言うように長生きはできるかもしれませんが全く魅力もロマンもないし、とにかくつまらないですよね。
この記事はなかなかリスクを取れない、本当に情けないつまらない私の弱さを書いたものです。
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5・死んだ奴は負けだ、負けた奴は裸になるって決まっている。
これはドサ健が映画の終盤で、バイニンの出目徳が麻雀をしている最中に、麻雀牌を握ったまま壮絶に死んでしまった時に呟いたセリフです。
私も同感で、やっぱり男は死んでしまったら負けなんだと思います。私の父は若くして旅立ちました。その後の私の家族は贔屓目に見ても決して順調とは言えませんでした。いくら存命中に溢れんばかりの愛情を注いでくれたとしても、やっぱり父親には早死にして欲しくなかったです。父親が生きてさえいてくれていれば全然違った人生になっていたのではないかと今でも感じます。(今が不幸せなわけではありませんが...)
そんな父親の真似をしないように、私は、私の家族のために、できれば一日でも長生きしたいと思っています。(日頃まったく節制とかしてないので説得力はあまりありませんが...)
前項とは少し矛盾しますが、ドサ健が言うように死んだらゲームセット、結局それが男のロマンのすべてなのかもしれません。
この記事はそんな私の父親のことを思い出して「父の日」の書いたものです。
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以上が、
もしかすると女性にとってはドン引きしちゃうようなことかもしれない、
今となっては地上波では放送禁止になっていそうな、
男のロマンを感じさせてくれる、
傑作おすすめ映画「麻雀放浪記」の登場人物(特に「ドサ健」)の、カッコ良過ぎるセリフでした。
登場人物の生き様を見習って、モテるかどうかは微妙ですが、少なくとも彼らのように人間味あふれる、芯が強い(芯がある)男になりたいものです。
芯が強い男についた書いた記事です。
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