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【経営者必見】経理マンが実際に使っている自主点検のチェックポイント(コンプラ向上・不正防止)

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私は今勤めている会社で10年以上経理の仕事をしています。その前は会計事務所に10年ほど勤めていましたのでもうかれこれ20年以上経理に携わっていることになります。何度となく自社の内部監査も実施してきましたし、税務調査もそこそこ経験しました。また経理(簿記)に関する資格もいくつか取ってきました。そんな日々を振り返って経理部門ほどコンプライアンスが重要視される部署はないと強く感じています。

  

★私の仕事について★

↓↓↓

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経理部門における経理業務はお金を通じて会社のすべての業務にかかわります。企業規模によって状況は異なりますが当然日常的に多かれ少なかれ金銭を扱います。万が一不正が起こった場合はそのダメージは計り知れません。経理部門は社内の各部門の中でもコンプライアンスの重要性が間違いなくトップクラスと言えます。

 

因みに経理業務とは...

  • 貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の作成(決算)
  • BSとPLの元となる各種帳簿の記帳
  • 現金・預金の入出金
  • 支払手形・小切手の発行
  • 請求書等の書類の作成とチェック
  • 資金の調達と運用
  • その他

 

これらを行うスタッフは当然不正を許さない自覚と高いコンプライアンスが求められます。特に経営者は企業の生命線であるお金をスタッフに信頼して任せているわけです。もちろんご自分で経理までやられている方は会計的、税務的に適正かどうかは別としても不正云々といったことは心配ないでしょう。しかし現状は特に起業家の皆さんは「類まれなる売上を伸ばすの才能」に恵まれていることと反比例して「経理業務を苦手にしている」という方が少なくありません。そういった経営者の皆さんは自動的に経理業務をスタッフに任せるしかないということになります。

 

そこでそのような経営者の皆さんにご自分の会社の経理業務を是非チェックしていただきたいと思い立ち今日の記事を書いてみました。内容は基本的なもので、プロの方が見れば当たり前の内容に終始しています。ただ非常に重要なものばかりで実際に私が今も使っているものです。シンプルなものほど時として軽くみられ、徹底されないでいるということが経理20年超の経験上よく見られたことです。

 

繰り返しになりますがシンプルな内容ですので今日早速チェックできるものばかりです。是非ご自分の分身とも言える大切な会社の経理業務を見直してみてください。新たな問題点の発見や信頼関係の構築に繋がるはずです。もちろん既に大部分の項目が粛々と実践されているという経理はそこそこ安心できる言えます。ただあくまで基本的な項目ですのでそこで油断することなく、税理士等の専門家や経理部門のスタッフの意見によく耳を傾け、自らの目で現実を見極め、内部統制の強化を推進していくことをおすすめいたします。

 

ちょっと寄り道ですw

◆経理豆知識◆

知っている方もたくさんいると思いますが、私が経理一年生の時に上司に教わった豆知識です。

結構役に立ちますので知らなかった方は覚えておいて損はないと思います。

 

「数字の桁をひっくり返して足し算してしまった場合は絶対に差異が9の倍数になる。」

 

例えば、

2013+2014+2015=6042

が正しい計算とします。

よくやるミスですが2015を2051と間違えて足した場合、

2013+2014+2051=6078

となり差異は、

6078-6042=36

で9の倍数となります。

例外は絶対にありません。

検算して差異が9の倍数になったときはまず数字のひっくり返しを疑いましょう。

 

 

それでは貸借対照表、損益計算書の勘定科目毎にチェックポイントを紹介していきます。

勘定科目についてはこちらを参考にしてください。とても分かりやすいです。

↓↓↓

勘定科目一覧表!勘定科目に関する疑問をすべて解決!

 

貸借対照表(BS)

・現金

◆チェックポイント◆

現金出納帳と手許現金在高が一致しているか?

◆一致していないと・・・

不明な出金があった可能性がある

◆おすすめする対応◆

「日々出納帳と現金在高が一致しているか確認するようにしましょう」

 

・預金

◆チェックポイント1◆

預金の帳簿と預金通帳の残高が一致しているか?

◆一致していないと・・・

不明な引き出しや振込みがあった可能性がある

◆おすすめする対応◆

「定期的に預金帳簿と預金通帳が一致しているか確認するようにしましょう」

 

◆チェックポイント2◆

小切手帳の控え(俗に言う耳)に支払い先と金額が明瞭に記載されているか?

◆記載されていないと・・・

不明な支払いがあった可能性がある

◆おすすめする対応◆

「相手先、支払内容等を詳細に小切手帳の控えに記載するようにしましょう」

 

◆チェックポイント3◆

書き損じた小切手は適正に保管されているか?

◆保管されていないと・・・

書き損じたと偽ってその小切手を使って不正に支払いされた可能性がある

◆おすすめする対応◆

「書き損じた小切手は社名を抹消して控えに添付しておきましょう」

 

・受取手形

◆チェックポイント◆

受取手形の現物と受取手形記入帳が合っているか?

◆合っていないと・・・

受取手形が不正に現金化された可能性がある

◆おすすめする対応◆

「定期的に受取手形の現物と受取手形記入帳を突合しましょう」

 

・売掛金

◆チェックポイント1◆

 売掛一覧表の残高と得意先に対する請求残高が一致しているか?

◆一致していないと・・・

回収した売掛金が入金されていない可能性がある

◆おすすめする対応◆

「毎月発行する請求書に記載する残高と売掛一覧表の残高を突合しましょう」

 

◆チェックポイント2◆

売掛金の回収が遅延している理由を得意先に確認しているか?

◆確認していないと・・・

実際は回収しているにも関わらず入金されていないことに気づかない

◆おすすめする対応◆

「回収が遅延している得意先に直接その状況や遅延の理由の確認を行いましょう」

 

◆チェックポイント3◆

売掛金の回収条件が変更になった場合その理由を得意先に確認しているか?

◆確認していないと・・・

実際は回収しているにも関わらず入金されていないことに気づかない

◆おすすめする対応◆

「条件変更は責任者の同意の下、書面等で確認するようにしましょう」

 

・棚卸資産

◆チェックポイント1◆

実地棚卸と帳簿上の在庫金額に差異がないか?

◆差異があると・・・

在庫が不正に持ち出されたり紛失したりしている可能性がある

◆おすすめする対応◆

「帳簿棚卸と実地棚卸を定期的に突合しましょう」

 

◆チェックポイント2◆

委託在庫が実際に得意先にあるかどうか確認しているか?

◆確認していないと・・・

既に売れているにも関わらずその売上代金が入金されていない可能性がある

◆おすすめする対応◆

「委託在庫リストを作成し定期的に委託先の実地在庫と突合しましょう」

 

・貯蔵品

◆チェックポイント◆

商品券・印紙・切手の受け払いを管理しているか?

◆管理していないと・・・

換金されていても気づかない

◆おすすめする対応◆

「受払簿に誰がいつ何の目的で使用したかを明らかにして定期的に残数量を確認しましょう」

 

・仮払金

◆チェックポイント1◆

仮払いした相手先や仮払いの必要性の確認が取れているか?

確認が取れていないと・・・

不明な出金となっている可能性がある

◆おすすめする対応◆

「仮払い先、仮払いの理由、内容等を詳細に報告するルールにしましょう」

 

◆チェックポイント2◆

精算されていない期間が長期化されているものがないか?

長期化されていると・・・

不明な出金となっている可能性がある

◆おすすめする対応◆

「未精算が長期化しているスタッフに直接その状況や未精算の理由の確認を行いましょう」

 

・固定資産

◆チェックポイント◆

固定資産の現物と固定資産台帳が一致しているか?

一致していないと・・・

固定資産が現金化されている可能性がある

◆おすすめする対応◆

「パソコンなどの固定資産の実物にナンバリングをして配置表を作成し定期的に固定資産台帳と突合しましょう」

 

・貸付金

◆チェックポイント1◆

回収が遅延しているものについて確認が取れているか?

取れていないと・・・

回収した貸付金が入金されていない可能性がある

◆おすすめする対応◆

「回収が遅延している貸付先に直接その状況や遅延の理由の確認を行いましょう」

 

◆チェックポイント2◆

貸付先に対して定期的に残高の確認をしているか?

確認していないと・・・

実際は回収しているにも関わらず入金されていないことに気づかない

◆おすすめする対応◆

「貸付先と定期的に残高の確認を行いましょう」

 

・支払手形

◆チェックポイント1◆

支払手形帳の控え(俗に言う耳)に支払い先と金額が明瞭に記載されているか?

記載されていないと・・・

不明な支払いがされた可能性がある

◆おすすめする対応◆

「相手先、支払内容等を詳細に支払手形帳の控えに記載するようにしましょう」

 

 ◆チェックポイント2◆

書き損じた支払手形は適正に保管されているか?

保管されていないと・・・

書き損じたと偽ってその手形を使って不正に支払いされる可能性がある

◆おすすめする対応◆

「書き損じた支払手形は社名を抹消して控えに添付しておきましょう」

 

・買掛金

◆チェックポイント◆

買掛一覧表の残高がマイナスになっている取引先がないか?

マイナスになっていると・・・

支払いが不正に過払いになっている可能性がある

◆おすすめする対応◆

「残高がマイナスになっている仕入先とは定期的に残高の確認を行いましょう」

 

・預り金

◆チェックポイント◆

預り金一覧表の残高がマイナスになっている相手先がないか?

マイナスになっていると・・・

精算が不正に過払いになっている可能性がある

◆おすすめする対応◆

「残高がマイナスになっている相手先とは定期的に残高の確認を行いましょう」

 

・借入金

◆チェックポイント◆

借入金一覧表の残高がマイナスになっている借入先がないか?

マイナスになっていると・・・

返済が不正に過払いになっている可能性がある

◆おすすめする対応◆

「残高がマイナスになっている借入先とは定期的に残高の確認を行いましょう」

 

損益計算書(PL)

・売上

◆チェックポイント◆

値引きが責任者の承認の下で行われているか?

承認されていないと・・・

得意先からは値引きしない金額で回収したにも関わらず値引きした金額で入金されている可能性がある

◆おすすめする対応◆

「売上の値引きは責任者の権限の範囲で行うルールにしましょう」

 

・仕入

◆チェックポイント◆

値引きを責任者が把握しているか?

把握していないと・・・

仕入先には値引きされた金額で支払ったにも関わらず会社からは値引きされない金額で出金されている可能性がある

◆おすすめする対応◆

「仕入の値引きは受けたら必ず責任者に報告し責任者が把握できるルールにしましょう」

 

・経費(販管費)

◆チェックポイント1◆

領収書等で支出の相手方や内容の確認ができているか?

確認できていないと・・・

不明な支払いがされた可能性がある

◆おすすめする対応◆

「相手先、支払内容等を詳細に報告するルールにしましょう」

 

 ◆チェックポイント2◆

領収書等(特に飲食店)の宛名が自社以外になっていないか?

宛名が自社以外になっていると・・・

個人的な支払いを経費で落としている可能性がある

◆おすすめする対応◆

「相手先、支払内容等が不明な領収書(上様、品代等)は経費として認めないルールにしましょう」

 

その他の社内体制

・領収書

◆チェックポイント1◆

自社の領収書はオリジナルのもので定型化されているか?

定型化されていないと・・・

市販の領収書等を不正に使用される可能性がある

◆おすすめする対応◆

「会社名が印刷された複製されにくいオリジナルのものを作製しましょう」

 

◆チェックポイント2◆

自社の領収書はナンバリングされているか?

ナンバリングされていないと・・・

自社の領収書を不正に使用されても気づかない

◆おすすめする対応◆

「自社の領収書にはナンバリングを入れましょう」

 

 ◆チェックポイント3◆

自社の領収書は厳重に管理されているか?

厳重に管理されていないと・・・

自社の領収書を不正に持ち出されても気づかない

◆おすすめする対応◆

「施錠できる場所に保管し領収書の入出庫も管理し使用済みの領収書控えも回収しましょう」

 

・インターネットバンキング

◆チェックポイント1◆

インターネットバンキングのID・パスワードが適切に保管されているか?

PC周辺に記載するなど適切に保管されていないと・・・

不正に第三者に使用される可能性がある

◆おすすめする対応◆

「特定の者だけが操作できる体制にしましょう」

 

◆チェックポイント2◆

インターネットバンキングの送金受金が責任者が確認する体制になっているか?

確認する体制になっていないと・・・

担当者が不正に処理しても気づかない

◆おすすめする対応◆

「取引内容が自動的に責任者に送信される設定にしましょう」

  

 

 

以上が経理業務のコンプライアンスを向上させる(不正防止)ためのチェックポイントです。比較的わかりやすいものばかりだったのではないでしょうか。

 

内部統制の強化は企業の成長のためには必要不可欠です。経営者の皆さんが自社の経理業務を自主点検することでコンプライアンスをより一層向上させ、不正を未然に防止し、会社をますます成長させていかれることを願って止みません。

 

最後になりましたが、経営者と経理部門の関係性について一番大切なことは「信頼関係」です。常日頃お互い良好なコミュニケーションを密に取り、経理部門のスタッフの苦労や悩みややりがいなどを聞いてあげてください。そうすれば不正など起きようがない関係性が構築されるはずです。そのうえで経営者の皆さんは業績拡大に心置きなく邁進していただければベストなのではないでしょうか?

一経理マンとしてそのことを経営者の皆さんに切にお願いしてのこの記事を締めくくります。最後までお読みいただきましてありがとうございました。

 

【参考】この考え方がベースです...

京セラ会計学 7つの基本原則 | 稲盛和夫 OFFICIAL SITE

■ダブルチェックの原則

「ダブルチェックの原則」は、経理のみならず、あらゆる分野で、人に罪をつくらせない「保護メカニズム」の役割を果たす。伝票処理や入金処理を一人ではなく必ず複数の人間でチェックするというダブルチェックのシステムは、業務の信頼性と、会社組織の健全性を守ることになる。

  

★会計用語についての記事★

↓↓↓

hikarujinzai.hatenablog.com