社労士試験合格を目指しているみなさん、
2015年(平成27年)の社労士試験を受験し不可解な合格基準に涙を呑んだみなさん、
そしてこれからこの(伏魔殿のような?)試験を目指そうとしているみなさん、
こんにちは!
いかがお過ごしですか?
それにしても今年の社労士試験は壮絶でした。
最初オフィシャルサイトで合格者数・合格率を見たときは目を疑いました。
絶対にこれは誤植に違いないと真面目に思いました。
それほど合格率2.6%、合格者数1,051人は驚愕の数字でした。
さらに合格基準の選択式の救済科目を見て再び驚きました。
まず「労一」が救済されていることにちょっとした安堵感というか、「救済されて良かったなあ」と胸をなでおろしました。
そのあと「厚年」が救済されていることを少し意外に感じ、その横に記載されるべき「国年」が無くて「だめだったんだあ」と胸がザワザワし始めました。
そして冷静になって最初から目を通していくと、
絶対に救済されていると確信していた・・・(資格学校もほぼすべて救済予想)
「労災」が救済されていない!
「なんじゃこりゃーーー!」
と心の中で叫んでしまいました。
主催者がなぜここまで合格率を絞り込んだのかほんと意味不明です。
(政策的なプレッシャーでもあったのでしょうか...)
それにしても選択式で「労災」が救済されないことはどうしても理解できません。
私ですらそう思うのですから、選択式「労災」が一点足らずで不合格になった方の怒りを考えると言葉もありません。
「合格基準の補正は試験の難易度に差が生じた時に行われる」と公表されていますが、この意味って実際どう捉えれば良いのでしょうね...
大部分の受験者は必死に勉強しています。(私もそうでしたが決して楽な道のりではありません。)
そんな真剣にこの試験に取り組んでいる方々にとって、この理解しがたい合格基準は残酷すぎます。
言葉は悪いですが「なめてる」と言われても仕方ないのではないでしょうか。
こんな試験では真面目に勉強してきた受験者は報われません。
主催者には今年のような雇用保険の「ダメ問」など出さないようにしていただくことと、安定したフェアな試験制度を実現していただくことを切にお願いしたいところです。
ここで私がいくら吠えても何も変わらないでしょうから、この記事では具体的にこの理不尽な試験に挑戦するために覚悟すべきこと(合格基準や対策)を断腸の思いでまとめてみたいと考えています。そして最後に一言物申します。
今年の試験に不合格になった方は今はまだ読みたくもない内容だとは思いますが、いつの日か、「さあもう一年頑張るか!」と立ち上がった時のためにさらっとご一読いただければ幸いです。
またこれからこの試験を目指そうとしている方は、この理不尽で不条理な試験制度を十二分に理解して勉強を始めていただきたいと思います。
それではそろそろ始めます。
- 【1】2015年度(平成27年度)の社労士試験の振り返り
- 【2】択一式の基準点
- 【3】選択式の補正(救済措置)
- 【4】やるべき対策
- 【5】来年度の合格率に対する淡い期待
- 【6】「情にあつい男」山川靖樹先生の叫び
- 【7】最後に
【1】2015年度(平成27年度)の社労士試験の振り返り
もう何度も穴が開くほどご覧になったと思いますが、初めて見る方も中にはいらっしゃると思いますので、振り返りの意味で簡単に載せておきます。
◆実施概況
受験申込者数 | 52,612人 前年 57,199人、対前年 8.0%減 うち科目免除者 1,207人(うち公務員特例の免除者 636人) |
受験者数 | 40,712人 前年 44,546人、対前年 8.6%減 うち科目免除者 1,022人(うち公務員特例の免除者 534人) |
受験率 | 77.4% 前年 77.9% |
合格者数 | 1,051人 前年 4,156人 うち科目免除者 58人(うち公務員特例の免除者 40人) |
合格率 | 2.6% 前年9.3% |
◆合格基準
本年度の合格基準は、次の2つの条件を満たしたものを合格とする。
(1) 選択式試験は、総得点21点以上かつ各科目3点以上(ただし、「労働の一般常識」「社会保険に関する一般常識」「健康保険法」及び「厚生年金保険法」は2点以上)である者
(2) 択一式試験は、総得点45点以上かつ各科目4点以上である者
※上記合格基準は、試験の難易度に差が生じたことから、昨年度試験の合格基準を補正したものである。
◆配点
(1)選択式試験は、各問1点とし、1科目5点満点、合計40点満点とする
(2)択一式試験は、各問1点とし、1科目10点満点、合計70点満点とする
これから社労士試験を始める方のために念のため補足すると、
社労士試験の「選択式試験」は各科目3点以上とらなければならないのが原則で、1科目でも3点未満の科目があると不合格になってしまいます。(俗に言う足切り)
ただ年度によって(近年はほぼ毎年)ある特定の科目が2点(もしくは1点)でも合格にするという措置がとられることがあります。(俗に言う救済)
この特定の科目を選ぶ基準がほぼ明らかにされていないことがこの資格試験の最大の「闇」となっています。
この選ぶ基準が、「難易度」や「合格者(社労士)は理解しておくべき重要度(得点して欲しい論点)」等ではないことはほぼ明らかです。
【2】択一式の基準点
◆主要資格学校の予想
TAC:42-43
LEC:42
資格の大原:42
ユーキャン:41-43(救済:健保)
IDE社労士塾:40-42(救済:雇用)
クレアール:43-44
山川の社労士予備校:43-45
◆蓋を開けてみると...
さんざん資格学校が42点前後と予想していた(難易度が高かった)にも拘らず...
45点(救済なし)
◆過去10年データ
26年(合格率9.3%) 45点(救済:常識3点)
25年(5.4%) 46点
24年(7.0%) 46点
23年(7.2%) 46点
22年(8.6%) 48点
21年(7.6%) 44点
20年(7.5%) 48点
19年(10.6%) 44点
18年(8.5%) 41点(救済:労基・安衛3点、常識3点)
17年(8.9%) 43点
◆仮説
・今年は各資格学校が独自の採点サービス(復元解答)等から集計した平均点から予想した基準点予想がことごとく悪い方に外れる結果になりました。
・各資格学校の予想は過去10年の中でも最も難易度が高いというのが大方の予測でした。もかかわらず45点で決定されたということは、近年の過去データも勘案して、その年の難易度に関わらず45点がひとつの基準点として確立したと考えた方が良さそうです。
【3】選択式の補正(救済措置)
◆主要資格学校の予想
TAC:労災・労一・健保
LEC:労災・労一・健保
資格の大原:労災・労一・社一・健保・厚年
ユーキャン:労災・労一・健保・国年
IDE社労士塾:労災・労一・健保
クレアール:労災・労一・社一・健保・国年
山川の社労士予備校:労災・社一・国年
◆蓋を開けてみると...
労一・社一・健保・厚年
労災(国年)救済されず!(資格学校ほぼすべてが救済予想)
労一は久々に救済!(労一救済されない神話は崩壊)
◆過去10年データ
26年(合格率9.3%) 雇用・健保2点
25年(5.4%) 社一1点、労災・雇用・健保2点
24年(7.0%) 厚年2点
23年(7.2%) 労安・労災・社一・厚年・国年2点
22年(8.6%) 国年1点、社一・健保・厚年2点
21年(7.6%) 労安・労災・厚年2点
20年(7.5%) 健保1点、厚年・国年2点
19年(10.6%) なし
18年(8.5%) 労安・労災・社一・厚年2点
17年(8.9%) 労安2点
◆仮説
・今年最大の注目は過去ほぼ救済実績のない労一が救済されるかどうかでしたが、この科目は資格学校のデータでも断トツで平均点が低かったので、予想通り(久々に)救済されました。労一はどんなに難問でも絶対に救済されないという神話はひとまず崩壊しました。
・ただ労一の次に難問とのデータが出ていた労災が救済されませんでした。これには冒頭でも触れましたが本当に驚きました。空いた口が塞がらないというか、目を疑いました。
これが今回の鬼畜合格率を演出した最大の主役と言われています。あくまで私見ですが、労災より平均点が高いというデータが出ていた厚年が救済されていることからも、平均点の低い順に救済されているわけではなさそうです。国年についても同じようなことが言えます。
・ここである程度合格率の調整をしていることは間違いなさそうです。「たくさんの人が3点未満だった労災」を救済してしまうと合格率が大幅に上がり、主催者(行政)の想定していた数値を上回ってしまうといった事態が発生していたのかもしれません。本当に不条理としか言えませんがその線でほぼ間違いないのではないでしょうか。
・必勝法としては、全科目3点以上取って無条件に完全合格するか、「人が落とす問題を拾い」、「人が落とさない問題は落とさない」という「絵に描いた餅」のようなことしかなく、本当に鬼のような試験制度としか言いようがありません。だってどうすれば合格できるのか「神のみぞ知る」なのですから...
【4】やるべき対策
◆択一式
・どんな難問が出されても最低でも45点以上コンスタントにとれる勉強を心掛ける
・問題の長文化に対応できる読解力とスピードを身に付ける(時間が足りなくなることを認識)
・法改正を確実に押さえる
・実務レベルの具体的な論点まで意識する
(結論)模試とか過去問でいつも50点前後取れるようになるまで鍛え上げる
◆選択式
・重点的に最高裁判所の判例を押える
・一般常識の統計データ(白書)を丁寧に押える
・一般常識は社労士に関連する新聞記事を読む癖をつける
・このテキストがおすすめ
↓↓↓
(結論)絶対評価となる各科目3点取らないと完璧には安心できないことを覚悟する
【5】来年度の合格率に対する淡い期待
資格試験において極端に低かった(過去最低の)年の翌年は反動で上がるという傾向は他の資格でも散見されます。
例えば、
◆宅建
平成21年17.9%
平成22年15.2% ↓(過去10年で最低)
平成23年16.1% ↑
◆行政書士試験
平成16年5.33%
平成17年2.62% ↓(過去最低)
平成18年4.79% ↑
◆ケアマネージャー試験
平成22年20.5%
平成23年15.3% ↓(過去最低)
平成24年19.0% ↑
平成25年15.46% ↓(低い)
平成26年 19.16% ↑
◆社労士試験
平成24年7.0%
平成25年5.4% ↓(当時過去最低)
平成26年9.3% ↑
今年は言うまでもなく断トツで過去最低です。
今年の合格率 2.6%(業界騒然)
来年は上がることはほぼ間違いのないところですが、何の根拠も保証もありませんし、みなさんにとっては「なんだかなー」って感じですよね。
【6】「情にあつい男」山川靖樹先生の叫び
あれこれ説明するより是非一度ご覧ください。
これを見るともしもう一度この試験を受けるならこの先生に教わりたいと思いました...
↓↓↓
【7】最後に
以上が鬼畜とも言える合格率2.6%の社労士試験(理不尽極まりない試験)に挑戦するために覚悟すべきこと(合格基準や対策)についてでした。
最後にこの理不尽で不条理な試験制度に一言物申したいと思います。
何を言っても受験者の貴重な一年は絶対に帰ってきません。
そう考えると今回の理不尽な合格基準には憤りを感じずにはいられません。
一日も早く公平・公正な試験制度を確立し、ある程度合格率を安定させていただくことを、今回やり場のない怒りをどうしてもぬぐい去ることができない方や、辛く厳しい悪夢のような現実から立ち直れないでいる方に代わって、また業界の隅っこに携わるちっぽけなひとりとして主催者にお願い申し上げます。
最後にリベンジを期している方、これからチャレンジしようとしている方にエールを贈りつつ今日の記事は締めさせていただきます。
みなさんが頑張ったことは決して無駄にならないと思います。
知識の幅が増えることは、開業しても、勤務社労士としても、企業の人事部等で働く上でも大きな武器になるに違いありません。
気休めにしかならないでしょうが、来年のこの時期にひとりでも多くの方が笑顔で合格発表を迎えることができますよう陰ながら応援しております。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
※マークシート試験におすすめ!マークするのが楽しくなるシャープペンシル
★この本は一読の価値有り!
↓↓↓
※こちらは社労士試験の情報満載です。
↓↓↓