近い将来、辞表を出そうと考えていらっしゃる方はいませんか?
特に20代という若さで早くも会社を辞めたいと考えている方はいませんか?
そんな方に向けて今日の記事は書いています。
最初に言っておきますが、私は転職は必ずしも悪いことではないと思っています。
事実私も何度か転職していますし、振り返ってもまったく後悔していません。ただそれはたまたまというか運が良かっただけのような気もしています。転職は成功するか失敗するかは五分五分もしくは成功する方が比較的少ないような気がします。でもどうせ転職するのであれば是非キャリアアップになるような転職にして欲しいと強く願っています。
ここから今日の本題に入っていきます。
昨年の暮れ、私はある前途有望な若手社員から「会社を辞めたい」という相談を受けました。私は人事に携わっていますのでこのような相談をしばしば受けます。
彼は中途(第二新卒)でうちに入社しました。
彼が前職(新卒で入社した会社)を2年ほどで退職していたのですがその退職理由は、「残業が多すぎて体調を崩してしまった」「プライベートの時間が全く取れなかった」と面接で聞いていました。突っ込んで話を聞くとその日のうちに帰れることの方が少なかったとのことでした。彼の採用はとんとん拍子で決まりました。そんな彼がうちに入社して3年弱(30歳手前)でまた転職したいと言ってきたのです。
彼はうちにとっては大事な戦力でしたし、これといった問題も起こしていなかったので、採用から関わっていた私は彼に情が移っていたことも手伝って当然慰留しました。でも結果的に今年の2月彼は会社を去りました。その時は本当にやるせない心境でした。
その彼が転職先で今また苦戦していて「また辞めようとしている」とか「もうすでに辞めてしまった」みたいなことを風の噂で耳にしたので、昨年暮れ彼を慰留したときの面談ノートをパラパラとめくり、その時彼に伝えたことをもう一度読み返してみて、同じような境遇(20代で転職しようとしている)の人に少しでもお役に立つのではないかと思い記事にすることにしました。
彼の退職理由(不満)を尋ねたところそのときは大きく分けると次の3つでした。
- もっと会社に評価されたい
- もっといい待遇が欲しい
- 他の仕事をやってみたい
これをもう少しわかりやすく言うと、
「仕事できない人が出世して何故自分が出世できないのか納得いかないし、もっともっとお金稼ぎたいし、今の仕事にもちょっと飽きちゃいました。」
みたいなことです。(ほぼこのまま言い放っていました。ここまで言い切れるのはそれはそれですごいと思いましたが...)
製品開発をやっていた彼が次に入りたがっていた会社では、営業の仕事をやりたいと言っていました。しかもその会社は営業成績に応じての歩合給とのことでした。(辞める時点ではまだ採用はされていない)
前置きはこれくらいにして、そろそろ彼を慰留した時の面談で私が彼に確認したこととその時の彼の答え、そして私のあまり役に立たない見解と心のささやきを挙げていきます。彼に関しては今となっては「覆水盆に返らず」ですが、同じような境遇の方はどのようにお答えになりますでしょうか?
9つの自問自答
- 1.愚痴を言うだけでなく何かを変えようと実際に動いたか
- 2.自己評価が高すぎないか
- 3.今の現状の環境が恵まれているとは思わないか
- 4.簡単に今の給料を超える給料が稼げると思っていないか
- 5.今抱えているストレスは本当に逃げ出さなければいけないレベルか
- 6.中途採用している会社は圧倒的に即戦力を求めていることを把握しているか
- 7.中長期的にどうなりたいという自分のビジョンを明確に持っているか
- 8.現場でまたゼロから新しい職種の仕事を覚えていく覚悟があるか
- 9.漠然とだれでも転職すれば自分が磨かれると勘違いしていないか
1.愚痴を言うだけでなく何かを変えようと実際に動いたか
彼の答え
一度だけ直属の上司に言いましたよ。そのとき要望をたくさん出しまくりました。でもその上司は何にも動いてくれなかったし、会社も何も変わらなかったですね。直属の上司のそのまた上にも一度言ったことがありましたけど同じでした。自分でなんか動いたかって?自分では動いてませんが多分動いたとしても何も変わらないでしょうね。
完璧な会社などありませんし完璧な上司もいません。うちの会社もそうであることは認めます。ただたったの一回だけしか言ってないのにも関わらず、それが実現されないからと言って無力感を感じ、会社に失望するのはちょっと早過ぎるような気がします。現時点での問題点を少しでも改善するためにどんな小さなことでも構わないので自分で具体的に行動してみましょう。こんな諦めの早さでは次の会社でも早々に諦めてしまい、また愚痴を言うようになってしまう気がします。
結局百の愚痴より一の行動じゃないかなあ
2.自己評価が高すぎないか
彼の答え
僕は今まで与えられた仕事はすべて完璧にこなしてきたし、周りは使えない奴ばっかりで本当にイライラします。今回昇進したあいつも僕より全然仕事できないし...会社がどこみて昇進昇格を決めてるのかまったく理解できません。
すべてプラス思考で前向きに考え自分に自信を持つことはとても大事なことですが、あまりにも自己評価が高すぎてしまうとどうしても「おごり」につながり、今回のように「なぜ彼が昇進して自分が昇進できないのか」という不満となって噴き出してしまいます。もし自分が100点満点で100点に達したと思っても今度は満点をより高い200点に引き上げまだまだ自分は50%にしか達成していないと自己否定し精進することも大切なのではないでしょうか。
結局自分はいつでも50点と思えるかじゃないかなあ
3.今の現状の環境が恵まれているとは思わないか
彼の答え
今は残業も毎日1~2時間しかないので本当に恵まれてると思います。でもなんか物足りないんですよね。また子供が小さいので転勤があまりないのはとても助かっています。今度のところは全国規模で転勤がありますけどそのことはあまり心配していません。
残業も常識的な範囲内で、転勤もあまりないという現状は恵まれすぎるほど恵まれています。そんなぬるま湯につかっている人が、残業が多すぎる会社に転職するとすぐについていけなくなるということはよくあることです。過重労働が要因となって心身を壊してしまうという案件は増え続けています。長時間労働イコール「悪」というイメージを政府が作り上げようとしている世の中なのです。全国レベルの転勤も家族にかかる負担は想像を絶するものがあります。これらを無視して転職をすることは非常に危険です。過去同じような理由で転職したことがあるのであれば余計です。
結局隣の芝は青く見えてしまうのかなあ
4.簡単に今の給料を超える給料が稼げると思っていないか
彼の答え
今度の会社の給料は歩合制ですので、営業で成績ガンガンあげれば結構稼げると思いますよ。だってうちみたいに人よりたくさん仕事しても給料が変わらないなんてなんか損してるみたいじゃないですか。やっただけ欲しいんですよ僕は。会社の規模も全然今より大きいし期待しかありませんね。
歩合給は営業成績の優秀な人にとってはこれほどうれしいシステムはありませんが、一般的には非常に厳しい現実が待っています。もし営業成績が上がらなければ固定部分は最低賃金前後という企業も規模関係なくざらにありますし、残業などもつかないのが常識とされています。若いうちは営業で成績をガンガンあげてガンガン稼ぎたいという気持ちは痛いほどよくわかりますが、自分のプライベートのランニングコストをよく見極め破たんしないようにしておかないと家族崩壊すら起こり得る恐ろしいシステムなのです。
結局楽に稼げる仕事はないんじゃないかなあ
5.今抱えているストレスは本当に逃げ出さなければいけないレベルか
彼の答え
結構ストレス溜まってますよ。同僚が使えないので自分に負担がかかっているストレス、直属の上司がコミュニケーション全然とってくれないストレス、会社が何考えてるか理解に苦しむストレス、もう勘弁して欲しいですね。
ストレス耐性はプレッシャーが日々かかり続ける営業職においては欠かせない資質です。ちょっとしたストレスからすぐに逃げ出してしまうようでは転職して営業職として働いたとしてもまた同じ結果になってしまいます。特に上昇志向が強く、ストレス耐性が低いと悲劇です。なぜならどんどん自分で自分に上に行こうとしてプレッシャーをかけてしまいそのプレッシャーに負けてしまうからです。上昇志向が強くストレス耐性の弱い人は心身ともに具合が悪くなってしまい、お医者さんのお世話になってしまうことになりかねません。
結局ストレス耐性は最も重要な資質なんじゃないかなあ
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6.中途採用している会社は圧倒的に即戦力を求めていることを把握しているか
彼の答え
僕は即戦力にはならないでしょうが、営業の仕事なんて最終的には気合だと思っています。自分は営業のセンス結構あると思ってますのでなんとかなると思いますよ。この会社で営業に異動願い出せって?うちの会社の営業の中で教わりたい人が残念ながら見当たらないんですよ。
中途採用を考えている会社は即戦力をほぼ例外なく求めています。つまり仕事のできる経験者を探しているのです。逆に即戦力でなくても採用するような会社は何らかの理由で人の入れ替わりが激しくとにかく数合わせをしているか、入れてみてやらせてみてできれば「ラッキー」できなければ「さようなら」という厳しい現実が待っているかどちらかです。それほど職種を変えての転職(即戦力になれない転職)はリスキーなのです。
結局即戦力でなければ買い手市場なんじゃないかなあ
7.中長期的にどうなりたいという自分のビジョンを明確に持っているか
彼の答え
僕は例えば5年後どうなっていたいかという展望があるわけではありません。でもただ漠然と今よりももっと活躍できる場所があると信じています。先のことなんか考え過ぎると何もできないので先ずは一歩踏み出すことが大事なんじゃないかと思っています。
彼のようにとにかく一歩踏み出そうとする姿勢は素晴らしいと思います。物事はどんなことでも現実的に動き出さないと何ひとつ始まらないことも事実です。ただ一方で中長期的な設計図を書いて働くのとそうでないのとでは結果に雲泥の差がついてしまうのもまた事実です。転職というただでさえ先が読めないことにチャレンジするのですから、想像力を働かせ自分の何年後かの姿(目標)をできるだけ具体的に想像した上で仕事を進めていくようにした方が懸命です。
結局行き当たりばったりでの成功は偶然の産物でしかないんじゃないかなあ
8.現場でまたゼロから新しい職種の仕事を覚えていく覚悟があるか
彼の答え
やることは営業に変わりますが業界は近いのでなんとかなると思っています。まだ若いですし自分は年下に教わったりするのあまり苦になりませんから。さっきも言いましたができる奴は開発だって営業だってなんでもできちゃうものですよ。
現場でいちから仕事を教わるという苦労はサラリーマンであればほぼ100%経験があるはずですので改めて言う必要はないでしょうが、とても緊張する行為です。新入社員であればまだしも中途であれば年下の同僚から教わらなければならないケースも出てきます。ただ転職を成功させるためにはこのことを避けて通ることは絶対にできません。なぜなら仕事のエッセンスは現場の一番初歩の仕事に中にあるからです。もっと言うと自ら現場に出て末端の仕事をやらせて欲しいと申し出るくらいでちょうどいいのです。その覚悟がありますか。
結局現場で最初に覚える仕事にこそ原点があるんじゃないかなあ
9.漠然とだれでも転職すれば自分が磨かれると勘違いしていないか
彼の答え
周りも結構転職してるし、できる人ほど先に辞めていくって聞くし、転職しないで後悔するよりは転職して失敗した方が成長できるみたいなこと言ってる人がいたのでなるほどと思っちゃいました。何度も何度も転職していることを自慢している成功者がいるというのも聞いたし、転職すれば何かきっと得るものがあると思っています。
何度も何度も転職して大成功をおさめている方は確かにいますがそれは一握りの非凡な方々です。さらに言うとその方々はおそらく一社一社で何かを掴みながら転職を繰り返しているはずです。その一握りの方々が辞めた時の印象が強いためにできる人ほど先に辞めていくというイメージがついてしまっているのかもしれません。辞める会社で何かひとつでも自分の血となり肉となったものがありましたか。その確信がないのであれば現実逃避とあまり大差ないと言えるのではないでしょうか。
結局「転職=成長」と安易には言えないんじゃないかなあ
以上です。
いかがだったでしょうか。
ここまで書いてきて無責任ですが辞めていった若い社員と、リスクもとれない私自身とどっちが正しいのかまったくわからなくなってきました。
こうやって冷静に見るとなかなかポジティブな青年であることは間違いありません。
苦戦しているのは何かが少しだけ足りないだけだと思います。
そのヒントが少しでも今日の記事の中にあればうれしいのですが...
まとまりがつかなくなってきましたが、最後にもう一度、若いうちの転職を頭ごなしに反対しているわけではないことだけは声を大にして明言しておきます。
(かくいう私も20代後半で転職しましたので)
ただやるからには有意義なキャリアアップにしていただきたいと願うばかりです。
(おそらく会社の中での私の立場として、どうしても人材の流出を食い止めなければならないという意識も大きく働いているのだと思います。)
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
転職理由ランキング【2015年上半期】
1位 他にやりたい仕事がある
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3位 給与に不満がある
4位 残業が多い 休日が少ない
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※ここより引用しました
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