私はもちろん芸人ではないので先輩が後輩にどんな場面においても奢るという鉄の掟をかたく守っている訳ではありませんが、よくテレビで特に吉本芸人はこの鉄の掟を順守していると耳にします。ジュニアさんが後輩と一緒に旅行に行ってどんな小さな支払いも全て奢るとか、カンニング竹山さんも何百万も借金して後輩に奢り続けたみたいな話を聞きます。
たしかに芸人の世界ではその鉄の掟をかっこいいとされている風潮があります。「宵越しの銭は持たない」生き方をした横山やすしさんや藤山寛美さんのように破天荒な世界もネタのためには仕方がないと正当化されています。たけし軍団とかも当然すべてたけしさん持ちでしょうから、弟子がたけしさんに憧れるとか少しわかるような気がします。
でもそのような鉄の掟は素人(一般人)に適合するのでしょうか?素人(一般人)の常識というか実態は今どんな感じになっているのでしょうか?
このブログを書こうと思ったきっかけとなった話なのですが、先日ある焼き鳥屋で私が一人飲みしてる時のことです。
★一人飲みするならこのお店
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私の席のすぐ横で二人の若い男性サラリーマンが飲んでいました。その二人はおそらくというか、年下が年上のことを「主任」と呼んでましたので間違いなく同じ会社の上司と部下だと思います。年齢は年上の方(上司)が20代後半、年下の方(部下)が入社2~3年の25歳前後の感じでした。人相や雰囲気は思い込みが少し入っていますが、上司の方があまり笑わない、クールな感じというか暗めのちょっと男前で、部下の方が明るくて笑っていない時も笑っているような顔をした可愛げのある売れない若手芸人みたいなタイプでした。その二人の会話が典型的な「仕事の話」というか上司のほぼ説教オンリーでした。
その上司は典型的な先輩口調でクールに部下に対してダメ出しを連発していました。その部下は時には神妙にうなずき、時には「きついっすね~」みたいな苦笑いを浮かべながらよく相手をしていました。私はよくある光景だなあと思いつつ、「ちょっと上司きつくないか」とか「それにしても部下は切れずにがんばってんなあ」とか思いながらあまりよろしくないのですが二人の会話に耳を傾けていました。しばらくしてさすがに上司もダメ出しを言いつくしたのか、気が済んだのか締めくくりに入りました。
上司「そろそろ行くか」部下「そうすね、今日はホント勉強になりました。(おそるおそる)ここ御馳走になっていいんすか?」上司「(クールに)だめだよ」部下「(照れながら)そうっすよね、わかりました。(あっさりと)お姉さんおあいそ!」
私は愕然としてイスから崩れ落ちました。(本当は崩れ落ちてませんが・・・)たしかお代は二人で5,000位だったと思います。あれだけ部下にダメ出しをし(もしかしたら自分のストレスも発散し)、しかも明日からその部下とうまくやっていかなければならないのですよ。もし部下のモチベーションを上げたいと考えるのであれば2,500円は決して高くない、むしろ安いくらいではないかとその時は感じてしまいました。
この話はあくまで断片的に盗み聞きしただけですので、真実はまったくわかりません。二人は同じ会社ではないのかもしれませんし、この上司が、まったくのお調子者で仕事のできない&ミスばかりしている部下にしびれを切らして「今日という今日はちょっと絞ってやる!」といったテンションで飲みに来たのかもしれません。上司が非常にお金に困っているのかもしれませんし、部下が大金持ちなのかもしれません。ただ「昭和の上司」である私にとってはなかなか衝撃的なシーンでした。そこでちょっと気になってしまったのでまたいろいろと下手な分析をしてみました。
私は吉本芸人ほどではありませんが、結構後輩とか女性には奢る方だと思っています。自分の奢るときの心理というか心境を正直に列挙してみます。
・かっこつけたい
・先輩面したい
・いい人と思われたい
・見栄をはりたい
・先々助けてもらいたい(自分の役に立ってほしい)
・仲間にしたい(理解者にしたい)
・おだてられてイイ気分になりたい
・遠慮なく愚痴をこぼしたい
・相手が女性であれば下心も否定できない
・あぶく銭がはいった
・自分もされてきたので習慣で
・自分もされてきたので習慣で
・親心(愛情)
私の場合はこうやって列挙すれば最後の3つくらいを除いて決して褒められた心境でないことがお恥ずかしながらお解りになると思います。
多からず少なからず見返り(報酬)を求めてしまっているのです。
もちろんとんでもないお金持ちでそんなこと考えずに自然に当たり前のように奢ってる人もいると思います。でもそんな場合でもこれはあくまで私の仮説ですが、お金持ちの人は「お金の力でどこか人を支配できる、支配したい、支配することに慣れっこになっている」みたいなことが体に染み付いているのではないでしょうか。(私はお金持ちではないのでもし間違っていたらごめんなさい。)
では若い二人のサラリーマンはどうでしょうか?見返りを求めていないから割り勘だったのでしょうか?
若い二人のサラリーマンの話に戻します。私は最近の若手社員(新入社員)の多くがサラリーマンとして仕事をするうえで「3つのりつ(RITSU)」を意識しているというか、重要視しているのではないかと考えています。結婚式のスピーチの「3つの袋」みたいでちょっとダサいのですが見逃してください。この「3つのりつ(RITSU)」を踏まえて若手サラリーマンとは接しないとあまりうまくいかないような気がしています。若い世代を十把一絡げにして括るのは少し抵抗がありますし、私なりの偏見や解釈がかなり入っていますが参考程度に見ていただければうれしいです。
★この記事でもこの傾向は少し触れました
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3つのりつ(RITSU)
効率(こうりつ)
1.機械などの、仕事量と消費されたエネルギーとの比率。2.使った労力に対する、得られた成果の割合。コトバンクより引用
【傾向】
・確実にやったらやっただけの成果をだす
・むやみやたらに無計画に動かない
・失敗は想定する(恐れる)
【関連ワード】
ミニマリスト、断捨離、シンプルライフ、PDCA
自立(じりつ)
1.他の助けや支配なしに自分一人の力だけで物事を行うこと。ひとりだち。独立。2.自ら帝王の位に立つこと。コトバンクより引用
【傾向】
・会社に依存しない
・他人を意識しすぎない(流されない)
・お互いを尊重する
【関連ワード】
脱社畜、ぶらさがらない、自分のアタマで考えよう(ちきりんさん)
規律(きりつ)
1.人の行為の基準として定められたもの。おきて。2.一定の秩序。コトバンクより引用
【傾向】
・当たり前のことを当たり前にやる
・会社のルールや社会のルールを守る
・ルールを逸脱してまで成果をあげたいとは思わない
【関連ワード】
清廉潔白、コンプライアンス、ビジネスマナー
この「3つのりつ(RITSU)」をあの若い二人のサラリーマンも意識していたとすると、見返りを求めていたとか求めていなかったということではなく、彼らにとっては割り勘にするのは自然なことなのです。
これはこれでなかなかかっこよくてスマートな考え方だと思いますよ。(ちょっと寂しいけど・・・)
もう私とかとは感覚が少し違うのでしょうね。心配は不要のようです。
効率・・・自分の役に立つと思えば一緒に飲むし思わなければ断ればいい
自立・・・奢ってやった、奢られたで支配したくないし、借りを作りたくない
規律・・・人付き合いはお互いのルールを守って打算なく対等に楽しみたい
芸人の中には奢ったり奢られたりすることに疑問を持っている人も最近は増えてきているそうです。そんな芸人がこの「3つのりつ(RITSU)」を持ってるとは言いませんが、こういう考え方が少なくとも素人(一般人)にとっては今後は主流になってくるんだろうなと勝手に感じてます。昭和にどっぷり浸かっていた私などがびっくり仰天するようなことが今からどんどん増えてくるのでしょうね。
参考までに芸人が奢る理由とかエピソードを少し。
・ジュニア:「友だちがずっといなかったから遊んでもらっている感覚やねん」
・水道橋博士:「それが芸界のルールですよ!」
・ビートたけし:フライデー事件のとき弟子に向かって「お前らのことは一生面倒みるからよ」
というのを見ると彼ら(芸人)も見返り(報酬)を求めていないのかもしれません。そういう意味では親子のような無償の愛や感謝とかからきているのでしょう。(もちろん稼ぐお金も素人には想像を絶するようなレベルの世界だからこそのルールでしょうが・・・)同じ奢るにしても私なんかには全く真似のできない心境です。
以上が「昭和の上司」から見た吉本芸人の「先輩が後輩に奢る」鉄の掟は素人(一般人)には必ずしも適合しないというお話でした。
今後も「昭和の上司(私)」は引き続き奢り続けます。でもできるだけ見返りを求めないように注意して奢るようにしま~す!
★昭和の上司の記事
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見返りを求めないビートたけしさんのすごい話「ブラマヨとゆかいな仲間たちアツアツっ!!」より水道橋博士(談)水道橋博士がたけしさんに600万円ほどの借金をしていた5年で300万円返し、10年後に残りの300万円を返済したら、たけしさんから「お金返すやつ初めて見た」と言われたとのこと
ビートたけしさんの言葉はしみじみと深いですね!